東京地裁で傍聴した - D-2

この機会にやっておきたいアクティビティのひとつに裁判の傍聴があった。確かに裁判は平日にしか行われていないようだし、傍聴のためにわざわざ有給を取る程に興味を持てるのかもわからない。そういう意味ではちょうど良い機会だった。

霞ヶ関駅を降りると目の前に施設が存在している。というのは後からわかったことで、訳あって桜田門駅からGoogle Mapsを頼りに向かっていたら正面玄関をスルーして裏口の方に回されてしまった。最高裁裁判官向けの強めのメッセージが掲げられているところが正面玄関だった。

正面玄関から入ると空港的手荷物検査が行われ、その先にはどの何番の法廷で何の裁判をやるのかを一覧できる電子端末があった。内容やフェーズでおそらく公判の時間が変わっていそう。殺人事件は10時〜17時という予定になっていたが俺が見た覚醒剤取締法のやつは30分だった。ちなみに民事裁判もどういうのがあるか見てみたが、消費者金融の名前がズラッと並んでおり、なるほど……という気持ちになった。

傍聴券制度になっていない公判については、特に何の手続きもなく、そのまま法定に入って良いっぽい。傍聴人入口的なのがある。

裁判の中で最も興味深かったシーンは、検察から打ち合わせの提案が行われたことだった。そうか、彼らも打ち合わせをするのか。先生を交えて争点について打ち合わせをしたい、という言い回しで、先生というのは文脈的には弁護人を指していると思われる。検察、裁判官、弁護人の三者でissueを絞りましょうっていうことっぽい。争点にしていない部分の証人呼んでもしゃあないよね、と言う事なんだろう。あと裁判所の一人称が「裁判所」だったのが面白い。我々であれば「弊社」だとか自社名を言うような場面の一人称あるじゃないですか。「裁判所はその予定で大丈夫です」みたいな感じ。

全体的な進行の感じだとか三者の雰囲気としても「問題 vs 私たち」の構図で事を進めている感じだったのが意外っちゃ意外だったし、まあそりゃそうだよな、とも思った。たまたま傍聴したこの回がそうだった、と言うことはありうる。

打ち合わせの日取りが決まって閉廷となった。立ち上がった被告人に、両脇にいた警備員的存在が手錠と腰紐を付ける。手錠の重厚な金属の摩擦音が印象的だった。手錠は本当に「ガチャッ」と言う音がするのか。

食堂で昼食をとる、と言うアクティビティも狙っていたのだが、残念ながら第一食堂とされるところ閉店しており取り壊し作業が行われていた。ので、隣のすき家に行った。午後も別の公判を傍聴できると良かったのだが、一旦はここで帰宅することとした。

我々は「裁判を受ける権利」と言うのを持っているが、実際その裁判というものがどういう場所でどういう雰囲気で進むのか、というのを(ごくごく一部ではあるが)知ることが出来る良い機会だった。